プロジェクトスタディ

建築計画インセンティブにおける作品や文化施設の設置


5.民間施設によるアート(文化)拠点施設の立地の状況についての考察

(1) 民間文化施設の動向

MM21地区の民間施設による文化施設の立地を見てみると、当初は貸しホールか企業ミュージアムが主体である。最近では、単純な貸しホールではなく、音楽業界などの特定ジャンルの企業がホール運営を行っている事例が増えている。特に音楽業界は、昨今ネット配信が主流になってきている一方、リアルのコンサートが人気を博しているので、専用のホールが運営上も有利なこともあろう。

また、単純な企業ミュージアムとして、企業PRの一環としてだけの運営でなく、研究機能と一緒になっている例も増えてきており、単なるPRプラスお客様の声や反応を確かめることによって製品の向上を目指しているところも出てきている。

(2) 文化施設立地のパターン分類

大きく、デベロッパーによるテナントビルか、自社ビルかによって、その文化施設の内容が大きく異なってきている。

ア) テナントビルの場合

テナントビルの場合、デベロッパー自身が運営している文化施設と、テナントとして誘致した文化施設とに分かれる。空間としては専用の空間が必要とする場合が多いので、持続的な運営ができるかが課題となる。デベロッパー自身が運営している場合は、それなりの見込みが当初から考えられて運営していると考えられるし、テナントビルの場合も、ビル全体として収益を考え、集客施設として考えているようである。

デベロッパー自身が運営している文化施設の事例
・原鉄道模型博物館

テナントとして誘致した文化施設
・プラネタリアYOKOHAMA

イ) 自社ビルでの文化施設の運営

自社ビルの場合は、会社の方針で文化施設の設置が決まるが、広報・PRとして設置する場合と、CSRとして設置する場合とがある。最近では先に述べた通り、研究機関と連動して設置する場合が出てきている。

ホール運営の事例
・ランドマークホール、はまぎんホール・ヴィアマーレ

企業ミュージアムの事例
・三菱みなとみらい技術館

研究機関と連動した事例
・資生堂(S/PARK Museum)

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6.民間施設とパブリックアート

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